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No.12「Marshall/The Guv'norの製作」
今回はMarshallのThe Guv'norの製作です。
これは生産終了品ですね。ガバナーの愛好者も結構多いようなので気になってました。 ネットで回路図を見つけて、ついでにプリントパターンも載ってましたが そのプリントパターンはつまみの配置がオリジナルとも違うし、基盤をスペーサーで固定しなければ ブラブラになってしまうものなのでやはり自分で設計しました。 基盤の固定方法でちょっと悩みましたね。えぇ。 つまみが多いのでポットで固定するのはやめて、スイッチを基盤に直付けにして固定することにしました。 DB-2もスイッチを基盤に直付けですが、DB-2は6Pなのに対してガバナーは9Pの完全トゥルー・バイパスにしたかったので かなり困難でしたが、おぉ!出来ましたねぇ! 回路図には無い回路保護用の整流用ダイオードを追加して、 LEDには乾電池の電圧が一定以下に下がるとランプが消灯するように5.6Vのツェナー・ダイオードを追加しました。 ちなみにLEDも基盤直付けです。このあたりは今までのギターダー仕様と同じですね。 出来上がった基盤はこれです。 この時点でパーツを組み込んで音出し実験をしました。 トーンの効き具合を確認したかったんですね。 マーシャル・アンプやフェンダー・アンプにはBASS、MID、TREBLEという3バンドのイコライザーが付いてますが、 全てパッシブ回路なんですよね。 以前、このトーン部分だけを製作したことがありまして、 その時の感想は「OPアンプ式のイコライザーより変化が過激でない。」だったんですね。 実際に製作して実験してみると、だいたい予想通りのトーンの効きでした。 で、TREBLEの効きが弱いですね。 そこで楽器屋さんに直行し、中古のガバナーを試奏して来ました。 そしたらやっぱりTREBLEの効きが弱いんですね。そういう回路なんですね。 トレブルというよりプレゼンスという感じなんですね。 で、全体的に音質もだいたい同じです。しめしめ(笑) ということで、良さげな感じなのでこれでいこうと思いましたが 抵抗器が1箇所2.2MΩを使うところがありまして、すべて金属抵抗器を使用したいのですが 金属抵抗は最大1MΩのものまでしか無いんですね。少なくとも私が仕入れられるものは。 オリジナルはカーボン抵抗でしょう。でもどうせなら金属にしたいですよね。 そこで、1MΩ2本と200kΩを使って合成抵抗で2.2MΩを作ることにしました。 まぁここは回路的には入力インピーダンスを決定するところなんですけどね。 もっと細かく説明しちゃいますと、2.2MΩをGNDに、それと並列で1MΩをバイアスに落として 並列抵抗で、1÷(1/2.2MΩ+1/1MΩ)=687.5kΩが入力インピーダンスになります。 一般的なエフェクターの入力インピーダンスは1MΩだと思います。(そういうの多いし) ギターアンプの入力インピーダンスも1MΩだと聞いてますしね。 ただ昔のエフェクターなどでは470kΩのものや220kΩのものもありますので、 この687.5kΩっていうのもまぁありなんでしょうね。 最低100kΩ以上あればOKらしいんですけどね。 そんなこんなで基盤のプリントパターンも設計し直しですね。 ついでに全体的にパターンを改良したりして出来たのがこちらです。 ロゴも「GUV」から「GUITARDER GUV」に変わってます(笑) さて、プリント基板にパーツを乗せていきましょう。 まぁこんな感じですね。スイッチもLEDも基盤に直接付いてます。 抵抗器は全て金属抵抗で電解コンデンサはMUSEです。 点灯用のLEDの他に基板にペッタリとLEDが2つ並んでるのが分かります? これ、音出し実験の時に見たんですけど歪ませた設定でジャ〜ンって弾くと光るんですよー。 ポットはこれから。上に一列に並びますよー。 一応裏面です(笑) えー、ここでですね、オリジナルの基板がどうなってるのか気になりまして・・・ なんとオリジナルを購入してしまいました(笑) 買うのがもったいないから自分で作ろうと思ってたんですけどね・・・ははは。 これで音も思う存分比較出来ます。 さぁ!早速フタを開けてみましょう! 基板がちっちゃくて内部ガラガラでした・・・ で、パーツが全て小型ですね。一列に並んでます。 上の基板はジャックが付いてるだけで、下の基板に電子部品が付いてます。 そんでね、コンデンサが見た目が抵抗器なんですけれどもね。うーむ。 基板の左から3番目と4番目にちょっとピンクっぽいのがありますよね。 抵抗器の1/8Wにも見えるやつ。これがコンデンサなんです。 (アキシャルリード型コンデンサです。) きれいに並んでるのには感心します(笑) しかしまぁエフェクターの内部を覗くのは楽しいものですね。(笑) ケースはHAMMONDの1590BB(カナダ製)にしました。DB-2と同じですね。 スイッチやジャック、ポット、LEDなどの位置を計算して穴位置を決めました。 回路の他にも物理的に干渉しないようにというのがこれまた難しいんですよね。 ポットとジャックが干渉しないようにギリギリの設計です。 組み込む前に基板にポットを付けます。配線は出来る限り短くなるように設計しました。 おっと、OPアンプも乗せておきましょう。JFET入力の「TL072CP」です。 4558とか5532とか、デュアル(2回路入り汎用)OPアンプならどれでも互換性がありますが ガバナーは072を使ってるのでここはやはり072に合わせておきましょうね。 組み込んで完成です! ジャックはスイッチ・クラフトのBOXタイプで、ポットや基板とともにぴったりに納まりました。 基板もスイッチだけでもガッチリ固定されてますが、ジャックからのスズメッキ線でも上部が固定されて さらに確実になってビクともしません。見事な出来栄えです! さて、音を比べてみましょう。 ほとんど完璧に近いほどオリジナルと同じ音になりました! つまみの1つ1つの加減も何度も色々な設定で比べてみましたが、ほとんど同じ音です。 当たり前と言えば当たり前ですけど(笑) しかもオリジナルはスイッチングのクリック・ノイズが入りますが、GUITARDER GUVの方はノイズがありません。(勝った!) また、完全トゥルーバイパスなのでOFF時の音痩せも皆無です。 音を色々と検証しました。なるほどこれがガバナーなのですね、フムフム。 はっきり言ってマーシャルの音ですよね。 GAINを絞るとこもるのはオリジナルも同様です。GAINを上げればクリーンな音も一発で強烈に歪みます。 えっとね、ザクザク歪みますよ。 トーン・コントロールが3バンドなのですが、パッシブなのでDB-2とはまた違いますね。 極端にトーンをいじるよりも、全部真ん中の設定でいいんじゃないですか?という感じがします。 OPアンプを使ったイコライザー回路のように過激に効くトーンじゃないですけど、これがパッシブの良さですね。 しかしこのMIDDLEはいいなぁ。 いやー、久しぶりに良いものを作ったなー。 絶版品っていうとこがまたいいんですかねぇ。 なんていうんですか、ヘヴィ・メタル魂が蘇りますよね(笑) アイアン・メイデンなんか弾いちゃってますよ(爆) 2005.10.13 (追記) 問い合わせが多いので追記です。 英国製にこだわる人も多いのですね。 3台比較してみました。左が韓国製、右が英国製です。 英国製は裏のステッカーを見れば「Made in England」と書いてありますが、 外観的にはスイッチの形状とボディの形状が違います。 英国製のボディには段差がありますね。 ではでは中味を比べるて見ましょう。 ふむふむ。韓国製はスイッチと基板がコネクターを使った配線で接続されてます。 英国製はスイッチと基板を配線材で接続ですね。 で、音なんですけどね。 3台ともまずほとんど同じです。 韓国製よりも英国製の方が音が良いというのが定説になってるようですが、 3台とも同じ音質です。 本当に大音量で何度も何度も比較すると、分かる人には分かるかもという程度に コネクターを介する分の差が出てくるかもしれませんが、 「プレミアが付いて評判の良い英国製だから」という先入観抜きで比べて 実際に音で聞き分けられる人はごく少数だと思います。 もしその違いが本当にあるとすればコネクターや配線材どころか、 スイッチが基板に直付けの「GUITARDER GUV」が一番優れてるということになります。 実際に「GUITARDER GUV」の方がノイズレスですし。 ただ明らかなのは完全トゥルーバイパスの「GUITARDER GUV」は OFF時の音痩せや音質の劣化が無いということです。 すべてのエフェクターに言えることですが、 「高価なコンデンサや抵抗器だから」とか「ヴィンテージなパーツだから」 という理由で音が良くなるとか抜けるというのはちょっと違うかな?と思います。 私は色々試しましたが、確かにパーツだけで音が変わるものもあります。 でもそれが良い音かどうかは別の問題で、ものによっては安価なマイラーコンデンサの方が良かったりします。 いずれにしても、配線材やパーツによる違いはごく微量の差ですね。 そこが分かってる上で「面白い」と判断できれば色々試してみる価値はあります。 ただ、「ガラっと良くなりますよ!」とか「音の抜けが全然違います!」というのは あまり信用できないかな?と、個人的には思います。 絶対に全てのパーツがあまり変わらないとも言い切れませんけどね(笑) 2006.4.15 |
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