topページ
|
_______________ |
No.21「BOSS/OD-2(TURBO OverDrive)の製作」
今回はBOSSのOD-2(TURBO OverDrive)を製作します。
これはあまり人気も無いまま生産終了してしまったようです。 人気が無いから生産終了になったのかどうかは分かりませんが、 音的にも評判はイマイチのようです。 これも「作ろう作ろう」と思って基板までは作成しておいたのにずーっと放置してあったやつです。 これを作ろうと思ったのは、これがディスクリートだということなので興味があったからですね。 でもプリント基板だけ作ったらあとはこれを完成させるよりも自分の回路の実験を優先させてたので 何だかんだでずっと後回しにしてたんですね。 それで、もう自分でディスクリートで自由自在に設計出来るようになってしまったので そうなってからは、このOD-2の回路を見てもあまり魅力が無くなってしまってたんですね。 個人的にはOD-2はOPアンプの代わりに組んであるディスクリート部分が簡素化され過ぎてて とてもじゃないけど「この回路ではOPアンプを越えられないだろう」としか思えない回路です。 ディスクリートで設計することに対して、何も参考にならないというか。 私は「数千円で誰にでも買えてしまう市販の大量生産品のエフェクター」にはもうあまり使う気がしないにもかかわらず 冷静に客観的に見ると「BOSS社の技術はやっぱり凄い。バカにすることは出来ない。」と思ってたんですけど、 このOD-2に関してだけは、「ディスクリートにしたことで無駄に部品点数を多くしてしまっただけ」のような気がしました。 まぁそういうことは自分でディスクリートで設計出来るようになってから分かったことで この基板を作った時点ではまだそこまで分かってなかったんですけどもね。 しかし、これでもかと言うほど単純な回路が良い音を生んだりもする世界ですから 回路的に魅力が無いといっても、実際に製作してみないと音は分かりません。 せっかくプリント基板までは作ってあるので、いつかは製作しないともったいないし。 じゃ、いきます。 これが基板ですね。迷路として眺める分には楽しいですよね(ぁ もうね、面積が足りなくて乾電池のスペースを削っちゃいました。 アダプター専用ですね。 プリントパターンの設計は苦労しましたよこれ。 中古のOD-2でも買った方が早いんじゃないの?(笑 この基板の設計は、自分の中では「良くできた」とは言えないです。 0.15μFと0.22μFなんですけどね、回路図では電解コンの記号じゃなかったんですよ。 (BOSS社のサービスマニュアルの回路図だから原版なんですけどねぇ。) だからマイラー・コンデンサで(の大きさで)設計しちゃったんですよ。 で、電解コンやBOX型のコンデンサなら場所を取らずに済むところをマイラーにしちゃったもんだから 場所を確保するのに大変でした。 基板を製作した後で気づいたのですが、記号は電解コンじゃないのに+と−が書いてありましたよ。 他にもそういうところがあって回路的に通常は電解を使う部分にはちゃんと電解コンで設計してました。 つまり、注意力が足りなかったと反省したと同時に、本来はこの部分(0.15μFと0.22μF)には 電解コンを使うべきじゃないということも言えるんですね。 BOSSがここに電解コンを使ってるのは、単純に部品の大きさ(=基板スペース)の問題でだと思います。 とは言っても「容量が大きいから電解コンを使う」という選択は、一般的で常識的な決断でもありますけど。 (まぁその理由も単純に部品の大きさの問題なんだけど。) 要するにね、ここは電気的にはコンデンサの種類までは限定する必要が無いです。 個人的な予想では、ここはバイポーラ(無極性)の電解などがよろしいかと思います。 今度作るときは多分そうします。はい。 ケースがこれまた面倒でした。加工は簡単なんですけど、設計が。 DRIVE用の可変抵抗器が2連だから厚みがあるんですね。障害物になっちゃうんですね。 おまけにTURBOスイッチですよ。このTURBOスイッチの位置で悩みました。 デザインとかを無視すれば、どうにだって出来るんですけど、自分なりに色々とあるんで。えへ。 まずLEVEL、TONE、DRIVEの3つのつまみの間隔。これが重要。 この3つのつまみとスイッチを一緒に並べて4等分の間隔にしたらダメ。個人的にダメなデザインなの。 TONEがBASSとかTREBLEに分かれててつまみの数自体が多いなら小さいつまみで横に並べるけど、 やっぱLEVEL、TONE、DRIVEの3つでドーン、ドーン、ドーンってなってると存在感がある。 BOSSのOD-2はOD-3やSD-1みたいなつまみが3つのタイプじゃなくて、小さいつまみ4つでしょ? この外観も、人気を得られなかった大きな原因だったんじゃないかと、個人的に思います。まじで。 なんかね、いかにも「余分な機能が付いちゃってそう」だから。 すいませんね、おもいっきり私感です。偏見です。 でもデジタル・ディレイよりアナログ・ディレイの方が人気あるでしょ? あれのつまみも・・・・・・・・まぁいいゃ・・・ そんなこんなでINPUTとOUTPUTのジャックの位置がちょっと片寄ってですね、 アダプターのDCジャックも私のこの形のケースにしては今回初めて側面にしましたよ。 なんかギリギリの設計。結局、TURBOスイッチの位置は寸法を測りながらあっちだこっちだと考えてみたのですが、 これらの加工後に部品を付けてから、実際に空いたスペースを見ながら再度決めることに。 このファイルは、私が今までギターダーで製作したもの全てについて 回路図、基板の部品配置図、配線図、ケースの加工図面、その他補足事項やデータなどを詳細に記録してあるものです。 一度製作したものは、これさえ見れば同じように製作できるようにということでマニュアル化してます。 未発表の独自のエフェクターや実験のやつもあるし、私の宝物です。えへ。 とりあえず加工して、設計通りで問題が無いかどうか部品を仮組みして確認。 基板に抵抗器をハンダ付けしていきます。 「えーと、10kΩもう1本どこに挿すんだー?」 基板の穴と抵抗器の数が多すぎて、どこに載せるのかを探さなければなりません・・・ 全部載せるとにぎやかですねぇ。 都会にはビルが立ち並んでます。 さて、ここでちょっと小細工を・・・ 基板のスペースが狭かったんで、ダイオードとコンデンサを可変抵抗器に付けることにしました。 なのでぇ、あらかじめこうやって組んでおきます。 非対称クリップですね。これってBOSS社が最初に考えたんだよね。 「おっと、組み込む前にTURBOスイッチの位置を決めなければ。」 って、配線をし始めてから思い出しました(遅 最初はケース上面のツマミとツマミの間のちょっと下の方ということで、この部分を狙ってはいたんですけどもね 基板との関係上、ツマミの真横にくるとかなり狭いというか無理があるので 「どっか空いた所でいいや」なんて楽観視してたんですが、 日頃の行いが良かったからでしょうか、INPUTとOUTPUTのジャックの間が丁度良く空いてましてですね。えへえへ。 ここにしました。 そして、組み込み・配線作業が終わったら調整するところがあります。 この半固定抵抗器で、下の100kΩの抵抗の足をTPとして2.6Vに合わせます。 そう。このOD-2はDC9Vを分圧して8.2Vと5.6Vと4.1Vと2.6Vを使ってます。 4.1Vは8.2Vを10kΩの抵抗器2本で真っ二つに分圧して作ってますが、 2.6Vは5.6Vを同じ抵抗器2本で真っ二つに分圧したのでは2.8Vになりますので、 間に10kΩの半固定抵抗器を挟んであるのです。 つまり、テスターで2.6Vのポイントに合わせてありますが 13.9kΩと16.1kΩで分圧してることになります。(実際には10kΩ2本で2.8Vにしても何ら問題ないですけど。) 調整が終わったら完成です♪ さぁ、音出しですよ。 うーん・・・ あまりにもひどい音を予想してたからか(爆)、「使えないほど変な音という訳じゃない」です。 (よっぽどひどい音を想像してたらしい(笑 ) でも「じゃぁアナタこれを実際に使いますか?」って言われると、使わないですよね。 まずTURBOの切り替えが余計だというか、TURBOをOFFでOD-1系ということなんでしょうけどOD-1より音が曇ってるし、 OD-1を使うような人にはTURBOモードは不要でしょ。 逆に、TURBOモードが好みの人はTURBO-OFFのモードは不要でしょう。 かといってこのTURBO-ONの音だと、低音がブーミーだし何か今ひとつもの足りない。 ブーミーというか、ミュートバッキングでズンズンってやっても余韻が残ってしまってクリアーじゃない。 「艶」というか、「色」も無い。これならDS-1を使うね。 つまり、これだったらOD-1やSD-1、もしくはDS-1の方がいいでしょ。 要するに存在感が薄いのが2つセットになってる感じかな・・・ それでね、最近知った話ですが 「BOSSがOD-2をディスクリートにした理由は、OPアンプ内の余分な回路を省いてノイズの削減をする為」 ということだったたようです。 しかしですね、肝心のノイズがですね、ちょっとしか削減出来てない。 DRIVEを最大にしてわざとノイズが目立つようにアンプの音量をおもいっきり上げてOD-1と比べると、 確かにOD-1よりはちょっとだけ静かですけど、それでも「ビーーーーー」ってなりますから。 私のディスクリートのOD-1なんかほとんど無音ですよ。雲泥の差があります。 しかもOD-2はエフェクトON時の音量が低い。小さい。(それはどうやら後の「OD-2R」で改良されたらしいけど。) この音量をBOSSのOD-1や私のディスクリートOD-1と同じくらいに上げると、ノイズもさらに大きくなり ましてやTURBOをONにしたらもっと大きくなる。ダメだよこれは。 多分、冒頭で言った「簡素化され過ぎてて使い物にならないだろう。」と思っていた部分が影響してると思います。 「OPアンプ内の余分な回路を省いて」という部分なんだけど、私から見れば省き過ぎ。 肝心な部分のグレードを下げちゃっておきながら、TURBOなんかで余分な回路を追加してるんだから本末転倒でしょう。 ただ単純にOPアンプ部分をディスクリートに置き換えるだけならまだしも、これじゃ性能は期待出来ないでしょ。 多分、OD-2が評判良くない理由は 1.「はっきりしないコンセプト」 一般的にはこれが理由だと思います。 ディスクリートの良さをアピールするはずが、2種類のODを切り替えられるというアピールになってしまい しかもその2種類はそれぞれが「可も無く不可も無く、まぁまぁ」。 「こんなのが2個だったらアレ1個の方がいいや。」っていう感じでしょうね。 2.「ノイズの削減が甘過ぎる。」 ノイズがちょっとしか削減されてない。肝心のディスクリートの良さが発揮出来ていない。 TURBOの切り替えなんか付けてる場合じゃなかったのでは? 「ディスクリートならいいってもんじゃないんだよ。」っていう例だよね。 どう見ても私の「OD-1 Discrete」の方がいいです。まじで。 雲泥の差です。 2008.7.17 |
_____________ |