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No.3「可変電源装置の製作」
まぁエフェクター以前に色々と実験したいものがありましてね。
どの実験も最終的にはエフェクターの為の実験なんですけどね。 トランジスタを使った実験なんかをするのには様々な電圧が必要だったりするんです。 5Vだったり12Vだったり18Vだったり、単電源だとか両電源だとか。 今まではその都度必要な電圧を回路で組んだり、アダプターを使い分けたりしてたんですけど 可変電源があれば便利なんですよねー。 前から欲しかったんですよねー。 でも作るのが面倒だったんですよねー(ぁ で、やっぱり何かと便利なのは間違いないと思うので やっと製作することにしました。 まずはそこらへんに転がってるケースの中から使えそうなのを選びます。 そうです。ウチには部品もケースも色んなものが転がってます。 棚の奥とか探れば何でも出てきます。 ほらほら。丁度よさそうなケースがあったじゃないですかー。 ちゃんと足まで付いてますよ。 これに決定です。 さて、可変電源といえばLM317Tとかが一般的だと思います。 これです。 これって表面に「JC69RH LM317T P+」って文字が書いてあるんだけどさ これは拡大してあるし、写真の撮り方で光の反射や角度の調整がいいから文字が見えてるけど 実物はまじで見にくい。 もっと見やすく印字できないんですかね? JRCなんかは見やすいからメーカーにもよるんだよなー。この印字の色とかって。 影を上手く利用するとよく見えるんだけど。 おぉ、すげぇ!! なんかかっこいいな!! ま、そんなことはどうでもいいとして・・・ これは使い方によって1.2V〜37Vくらいまで固定でも可変でも使えるもので、 自分の使いやすいように定数などを設定する必要があります。 整流用ダイオードや平滑コンデンサも適宜追加します。 私が使いたいのは5V、9V、10V、12V、15V、18Vの単電源と±5V、±12Vの両電源くらいでしょうか。 37Vまでは必要ないですね。 入力電源には必要電源(出力電源)より3V以上は大きくなければいけないので 最小限に抑えないと無駄に大きな容量のアダプターで発熱させることになります。 なので、24Vのアダプターってよくある容量だしこれでいくか。みたいな。 回路図にするとこんな感じです。 1μFのコンデンサはセラミックかタンタルが適しています。 性能を求めるならタンタルですね。 別に電解でもできますが、高周波特性がタンタルの方が断然良いからです。 私はここの1μFにタンタルを使って、残りの2つのパスコンは電解を使います。 10μFのパスコンと保護ダイオードの1N4002は入れなくてもいいです。 確か特定の条件がそろった時にだけ必要なんだよね。多分これには無くても平気。 保護抵抗や保護ダイオードとか必要最低限以上のパスコンとかってね 無くても平気なものばっかりなんだよね。 ただ、この電源については自分は「保護回路が無い方が良いという根拠」が導き出せない。 だから付ける。決して部品点数が少なくて寂しいからではない(笑) ちなみに話がそれるけど話題のついでに言うと、 市販の工業製品などの、まぁ特にオーディオなんかではよくある話なんだけどね PL法だのISOだの社内規定だので安全対策がこれでもかというほど求められるので 大手メーカーの高価なアンプとかって保護回路が多すぎで音を犠牲にしてるんだと。 開発担当者が雑誌のインタビューで言ってるのを読んだことがある。 なにが言いたいか?って? 保護回路はあくまでも万が一の為の保護の役割しかなくて、 製品を動作させる為に必要な回路というわけではないのです。 しかも、大丈夫かどうか分からないから入れるのではなく、 大丈夫だと分かってるのに入れるのです。 性能(オーディオなら音質)を犠牲にしてまでも入れるのです。 入れたくないけど入れなきゃいけないんです。 そこで、そういうことが分かってるマニアは市販品を改造したり 自作したりするんですよ。 余分な回路を省いたり、コストを気にせず好きなパーツを使ったりしながら。 おもいっきり話がズレました。 話を元に戻します R1の抵抗とR2の可変抵抗器ですが、これが重要です。 ここの定数によって何Vまでの電圧を取り出すかとかが決まります。 計算式は 1.25(1+R2/R1)+ADJ(R2) です。 ADJの電流は100μAということでもうほとんど誤差範囲ですから気にしなくてもいいです。 これで計算すると、R1を680ΩにしてR2を10K(B)にするか、もしくは R1を340ΩにしてR2を5K(B)にするかのどっちかでしょう。 ただし、R1を340ΩにしてR2を5K(B)にすると 出力電圧を5Vに合わせるのにつまみの位置が「1」前後になるので 合わせづらいんじゃないかと。(図1) あ、ちなみにこれ、可変抵抗器をAカーブにしちゃうと 出力電圧を5Vに合わせるのにつまみを真ん中くらいにまで回さないとになっちゃいますんで。(図2) これじゃバランス悪すぎでしょ。 まぁ色々考えてみるとR1を680ΩにしてR2を10K(B)にするのがいいんじゃないかと。(図1の左側のやつ) 計算上は一応、1.25V〜20.6Vの可変ということです。 入力電源のアダプターは24Vです。 つまり、20V以下の単電源と、±10V以下の両電源が可変で作れます。 LM317Tを通さずにアダプターを直接使えば24Vの単電源と12Vの両電源も使えます。 回路が単純なのでわざわざプリント基板を作るまでもなかったのですが わざわざプリント基板を作りました。 細長い形になっているのは他の基板の余白部分を利用して作ったからです(爆 ついでにこんなのも作っておきました。両電源用アダプターの基板です。 2つあるのはセンター・プラス用とセンター・マイナス用に分けようかと思いまして。 要は外付けアタッチメントなんですが、まぁ詳しくは後ほど。 可変電源ということはつまみを回していって今が何Vなのか分からないと困ります。 いちいちテスターで測るのも面倒です。 そこでパネルに電圧計を装備するわけですよ。 でもあのケースのパネルにこのメーターは大きいか? パネルが狭くなっちゃうかな? とりあえずパネルのレイアウトを決めましょう。 取り付けるものを上に置いてみます。 やっぱ・・なんか狭いか?・・・ でもよくある市販の電源もこんなもんか? ちなみにつまみを小さくしてみると? なんかセコイ?・・・ つーか、つまみを小さくしたからといってメリット無い? 結局は可変抵抗器とDCジャックの間隔が必要だし。 っていうか、普通の市販のやつにはDCジャックなんて無いよねぇ? 私はあった方が便利だと思うので付けますが。 つまみは大きい方がいいね。 使い易そうだし、無線機みたいでかっこいいし(ぇ もうちょっとケースが横に長かったらターミナル(端子)を3つにして 両電源回路も内蔵してとかLED付のスイッチ付けたりとか色々アレなんだけど。 まぁこんなところで頑張るなら他で頑張れよということで。 あとは裏側で何か干渉しないかとか、足やケースのカバーのネジとかが干渉しないかとか 穴を開ける前に何度もよく確認します。 穴開けの寸法はだいたいこんな感じで。 さーて、さてさて。 実際に穴を開けてパーツを付けてみましょうよ。えぇえぇ。 前面パネルの他に底と後面にもちょこっと穴を開けるんですけど そっちは図面を描くまでもないでしょー。 基板は最初は縦方向に配置するつもりだったのですが 電圧計の厚みがあるし、横向きに配置することにしました。 横向きにしても基板からの配線は特に遠回りするわけでもないし。 うん。やっぱり基板は横向きの方が上手く収まるよねぇ。 前面パネルもなんか無線機みたいでいい感じだし(無線機じゃないです) ただDC出力ジャックがつまみのすぐそばって使いづらい? つまみを回そうとしたらDCコードが・・・ でもそんなの関係ねぇ!!(ぁ しかしなんで最初は基板を縦向きにするつもりだったんだっけなぁ? あれ? あ・・・そうだ・・・ LM317Tは放熱器を付けるから基板からはみ出るんだった(汗; やばい、どこにもぶつからなければいいが・・・ 結構デカイのよ(汗; 放熱器を付けたLM317Tを基板に乗せてみる・・・ 危なかった・・・ギリギリセーフだ。 これだと基板をもう少し後ろにした方がよかったよね。 つーか、基板を縦向きにしてれば心配することも無かったのである。 まぁ干渉しなかったのでとりあえずは良かった・・・ ふぅ。 あとは基板に部品をハンダ付けして配線を施せばいいでしょう。 部品も少ないし、あっという間に完成です。 じゃ、テストします。 1.製作した可変電源のメーターが、デジタルマルチメーターでの実測値と合ってるかどうか。 2.製作前に予想して図に描いたつまみの位置のバランスが合ってるかどうか。 では、いきます。 まず、製作した電源のメーターは実測値の通りですので信頼して良さそうですね。 可変出来る最小値と最大値は1.25V〜20.6Vということでバッチリ計算通りでピッタンコカンカンですね。 まだつまみは回りますが、それ以降は最後までつまみを回しても20.6Vのままです。 ただし、つまみの位置のバランスは予想したのとちょっと違ってました。 図で見てみるとこのような結果です。(図3) 思ったよりも5V付近と18V付近の位置が中心寄りでした。 でも逆にこの方が3Vとかが合わせ易くて使いやすいので結果オーライです。ははは。 以上、どーでもいい結果報告でした(笑) では最後にこれを紹介します。 両電源用アダプターです。 特に今回の電源装置用という訳ではなくて、他の電源装置やアダプターでも両電源に変換します。 外付けアタッチメントですね。 普通の電源をVcc、GND、Veeの3つに分けます。 元の電源が10Vなら、0VのGNDを基準にして+5VのVccと−5VのVeeを出力します。 これがGNDに対して−5VのVee これがGNDに対して+5VのVcc DCジャックの端子を逆にしたセンター・プラス用も作っておきました。 この電源装置のDC出力はエフェクターに合わせてセンター・マイナスにしてあるんだけど 場合によってはこの電源装置以外の、もっと電圧の高いアダプターから両電源を取るかもしれないし そういうアダプターはセンター・プラスのものも多いからです。 外付けのアタッチメントなので何にでも使えて便利です。 まぁ欲を言えばですね・・・ 電源装置の可変電圧をもっと高く設定しておいてですね こんな両電源のアダプターなんか内蔵させてですね VccとGNDとVeeの3つの端子を装備しちゃえば良かったんですよね。 作った後でそう思ったのは内緒ですから!(爆) でもいいもの作ったんで満足ですよ先生!! まじ使えますこれ!! 2008.1.18 |
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